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南紀すさみの食堂で、肉うどんを啜りながら泉州弁を考察する。 -すさみ町「やまにし食堂」-

南紀・すさみ。

2ヶ月ぶりだけど、光線はど夏。

太陽の力が格段に違う。



さて、そんなすさみ町の駅前、超ローカルな地元民御用達のお店、やまにし食堂。


「煮魚の骨取って出してや」

「アホか、骨だけ出したろか!」


そんな軽妙なご常連とのやり取りが心地よい。

しばし、お客さんや店の人の話し言葉を聴き入っていたが、不思議と私がよく耳にする所謂、和歌山弁とは違う様子。



どちらか言うと泉州弁、それも山側の言葉に親和性があるような。


一般に泉州弁と言うと、名作ドラマ「カーネーション」や地車祭の影響もあって、ラテン大阪ベイライン一帯の言葉を連想する事が多いと思う。


例えば初対面であっても

「おまえ、祭り見にきたんけ?ええとこ、連れて行ったろけ?そない遠慮すな、さあ、いこけ!」

と大音声の早口で捲し立てられ、免疫のない人は「とんでも無いところに足を踏み入れてしまった」と後悔するのだが、殆どの場合、それは最上級のウェルカムの場合が多い。


泉州ベイラインの人にとって、はっきり出来るだけの音量でたくさん喋りかけるのは、精一杯のサービス精神の現れである事が殆ど。


一方、同じ泉州であっても、より内陸・山側の人達は、それ程捲し立てもせず、言葉もマイルド。語尾に「〜け」と付ける場合も多いが、ベイエリアほど押し出しは強くなく「K」より「E」、「え」に重点が置かれる。


「はんなり」とまでは言わないが、やや「まったり」。


さて、この違いについて私見を述べると、元を辿れば、泉州ベイラインの人々の生業は漁師、職工である事が多い。

こういう職種の人にとって、言葉は短く的確で断定的、且つ発声も明瞭である必要がある。

そうで無ければ、命の危険や商品の出来に関わってしまうからだ。


対して内陸部の人達は圧倒的に農業が生業で良くも悪くも里や村単位での共同体の維持・運営が不可欠であったのだと思われる。


そういう所での言葉は、なるべく軋轢や共同体の不調和を生まず、察する能力を高めた柔和な言葉づかいと言うのが形成されたのだと思う。


この泉州内陸部の言葉は紀伊半島の真ん中、和歌山と奈良と三重が交わる地域を経て、三重県熊野地方、そして今回、南紀に於いても確認。


つまり、古道が結ぶ各エリアに言葉が伝播し文化を醸成したような気がする。知らんけど。


さて「やまにし食堂さん」、肉うどんが絶品です。



まさかこの地で、由緒正しい「肉うどん」に遭遇するとは。もう、あの名店、大阪千日前「ちとせ」に連なる味わい。

さては、肉うどんも古道を通じて・・そんなわけ無い。




やまにし食堂



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