嗚呼、官能が止まらない。三陸・田野畑村の滋味深き「合鴨」。
さて、この鳥の種類はなんでしょう?
答えは「合鴨」。
合鴨は、真鴨とアヒルを掛け合わせたものですが
随分アヒル寄りのルックスで鴨の面影が少ない様子。
さて少々話がややこしくなるのですが、アヒルというのは元々鴨を家畜化したものだそう。
つまり合鴨の両親、真鴨とアヒルはそもそもが真鴨なので
その子供である合鴨も生物学上は「鴨」としか言えないものらしい。
ただし、生物学上はどうあっても、そのルックス並びに食味について、真鴨・合鴨の両者は随分と性格を異にする。恐らくそれは血統によるものより、生育環境の違いによるものが大きいのでしょう。
古来より「鴨がネギ背負って・・」と言われる通り、 真鴨の肉は、脂肪分をしっかり蓄えた深くコクのある味わいながら、
鉄分の多い、やや癖のある独特の風味が特徴。 合鴨はそのコク深さはそのままに、その特有の癖を控えめにしたもので
万人に馴染みやすい。
とりわけ、ここ三陸・田野畑村で産される合鴨は、
飼料と飼育方法に工夫を凝らし、鴨固有の癖をぐんと抑えているので、
誠に食べやすく、三陸の厳しい自然環境による育みと相まって、
鴨の旨みを堪能できる逸品。
適度な弾力と深い味わいの身質と共に、魅力的なのがその脂質。 リノール酸・DHAを多分に含み、まるで植物油のようにサラサラとした脂は、
融点が低く、鴨鍋にするときめ細かく出汁に馴染み炊き入れた野菜の隅々にまで染み渡る。すなわち、鴨の旨みですこぶる美味しくなった野菜をたっぷり食べることこそ合鴨鍋の醍醐味。更に相性の良い蕎麦で締めれば言うことなしの満足感が訪れる。
北三陸田野畑村。
岩手合鴨の産地です。
鞭声粛粛
朝、産地取材して
夜、それを食べる。
諸行無常、誠に業深き人生です。